第6話

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「遙人先輩! 一緒の現場ですよね? よかったらご一緒出来ませんかァ…? 遙人先輩に教えていただきたいことがあるんですゥ……」 モジモジと話し掛けられて、 いいよ。 と答える。 2世タレントで女優の卵。 まだほとんど演技の経験はない。 名前は、 望月 寧々 まだ18歳。 子供過ぎて、つい甘やかしてしまう。 もちろんこの業界では珍しいことではないけれど、 うちの事務所では、最年少。 今までは俺が一番年下だったから… 社長が知り合いらしい。 その子の親の大物俳優と。 「私ィ… 遙人先輩に憧れて、父にお願いしたんですゥ。 うちの事務所に入りたいって…」 マネージャーが運転する車の後部座席。 ちょっと接近しすぎ。 興味ないんだって。 こんな子供。 「寧々ちゃん、 先輩って言うのやめてくれないかなあ。 慣れてないんだ。 ムズムズするから。」 やっぱ、俺のマネージャの車で来れば良かった。 キャプテンシートだから、こんなに接近することなんて無かったのに。 甘ーい匂いが鼻を突く。 あめ玉か! 「そーなんですかァ… じゃあ、遙人さんって呼んでいいですかァ…?」 俺の顔を下から見上げる。 あーもゥ。 こんなの苦手なんだって。
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