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「すぐに帰る予定だけど、
どうなるか解らないからいいよ?
タクシーで帰るから。」
駐車場が無いので、
マネージャーを先に帰らせた。
たまにはいいだろ。
俺より早く起きて迎えに来て、
俺を送って帰ってるんだから。
早く帰れるときぐらい、
ゆっくりさせてやんなきゃ。
全くダメダメだったマネージャーも今では使える。
一緒に成長してきたんだ。
俺より年上なのに、俺をしっかり立ててくれて。
俺の相棒みたいなものだ。
店にはいると、
スタッフに混じって製作会社やら知らない人やら…
けっこう集まってる。
すっげーな。
みんな賞って言葉には弱いんだな…
「遙人さん、
いらっしゃいました!」
スタッフのかけ声で連れて行かれた、一段上がったステージのような所。
なんだ。
一杯も飲ませてくれないのか?
喉カラカラなんだって…
そう想って、
見渡すと、
俺にスタッフの女の子がシャンパングラスを差し出す。
それも、クープグラス。
さては…
シャンパンタワー、やったのか?
俺が居ない間に。
まあ、いいか。
来るか来ないか解らなかったんだから、仕方ないよな…
「本日は…
一通りの挨拶をして、
カンパイ!なんてありふれた音頭をとって、
カラカラな喉を潤して…
一段…
降りた時だった。
あ…れは…
澪だ。
薄暗い店内だけど、
あの横顔は確かに彼女
考える間もなく、
話しかけてくる人をやり過ごして…
近づいた。
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