第6話

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「飲まれないんですか?」 席を空けてくれたので、みんなで座る。 俺の隣には居心地悪そうに澪が座ってる。 同期の俳優も一緒に。 あの作品に出てた主な演者が座って雑談。 ウーロン茶を飲んでる彼女に何を話しかけたらいいのか解らず… そんな事を聞いた。 本当はドキドキなんだ。 もう、 俺の知らない人と夫婦だと理解してるのに、 俺の隣にいると言うだけで、 とっちらかってる。 「先生はまだ授乳中らしいです。 さっきも勧めたんですけど、そう言って断られました。」 目の前に座った子がそう言う。 なんだ… 俺だけか。 澪の作品だって知らなかったのは… だけど。 現実はやっぱりそうなんだ。 俺のことなんてもうすっかりなんともなくなって、 新しい人生を大切に過ごしてる。 子供か… もし、 あのとき… 俺の子供が出来てたら、 澪は俺と共に人生を生きてくれたのだろうか… 「先生、最近はお名前お見かけしませんが、 お休み中なんですか?」 ! そうなのか? 知らなかった。 原作または脚本の名前は見ないようにしてたんだ。 もしそこで澪の名前を見ると… 戻ってしまいそうだったから。 誰かにそう聞かれて澪は、 「ええ。 子育てに専念してました。 でも、そろそろと思ってて。 今、売り込み中です。」 チラッと澪の顔を見ると、 バッチリ眼があった… 何か言いたげな…
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