第6話

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** 遙人は来ないって言ったのに… だから いいかなって想った。 これから本格的に復帰するに当たって、 顔合わせを兼ねて、 挨拶しておこうかと想ったんだ。 授賞式の後の祝勝会に招待された。 1週間前。 遙人と顔を合わせられないから断ったとき、 「遙人さんも撮影に入ってて来れないんですよね… 先生には来ていただかないと、 ただの飲み会になっちゃいます。」 なんて言うもんだから… 遙人が来ないんだったら行ってみたい。 あんなプロ意識の強い人たちに囲まれることはいい刺激になるし、 たまにはそんな華やかな場所に顔を出したい気分だったのに。 忙しいからって相手にしてもらえなかった制作会社。 賞が確定した途端、 提示したすべての作品の映像化が決定した。 やっぱり 私はついてる 断られても、 メゲずに何度も訪ねてた自分がけっこう気に入ってた。 ああ… 前を向いてるなって。 何年も掛かる覚悟をしてたのに… ほんの数ヶ月でこんなに上手く行くなんて。 月に一度の海翔との時間も私の背中を押してくれてる。 何も言わなくても、 ひと月で前に会ったときより大きくなってる海翔が… ぼんやりしてちゃ、 取り残されちゃうよ…? って言ってるみたいで。
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