第6話

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なんの話をしたのか、 ぜんぜん覚えてない。 隣に遙人が居て、 遙人の香りが漂って… ほんの数ヶ月、 心まで繋がってたと信じてた時。 その頃に戻れたような気がした… だけど。 そんなはずはないよね。 誰にでも同じように優しい顔で微笑むし、 みんなもそんな遙人を囲んでて。 この世界の中心に遙人が居る… まさにそう言う表現がぴったりな存在感なんだもの。 「アレ? 澪先生? 珍しいですね? 最近はとんと顔を見せなかったのに。 やっぱりアレですか? 遙人が賞を取ったから?」 酔っぱらった遙人の事務所の、 高山 修二 「ちょっと先輩、 飲み過ぎですよ。 しっかりしてください。」 高山修二。 前は遙人より露出が多くて、 主演作もひっきりなしだったのに、 最近は顔を見ない。 旬を通り越したかな… 今が苦しいときだろう。 「え? アレ? 俺が知らないとでも思ってるの? 知ってるよ?」 にやっと笑って、 私と遙人に顔を近づける。 凄いお酒の匂い… 「見たんだよね… ほら、 あそこのホテル。 あそこのホテルでデートしてたでしょ… 俺もあそこ、使ってたから、 何度も見かけたんだよねえ…」 クスクスと笑ったかと思うと、 急に大笑いを始める… 見られてた…? もう昔の話だと言っても、 ヘンな噂でもたったら…
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