第6話

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「もう先輩、 なに訳の解んないこと、言ってるんですか。 そんな訳ないじゃないですか。」 宥めようとする遙人に、 高山は、 「バカにしてんのか! 俺が落ち目だと思って笑ってんだろ。 そりゃ遙人はいいよな。 そういう関係だから、このドラマに出して貰ったんだろ? そんなやり方だってあるもんな? プレイボーイの遙人さんなら。」 だんだんと声が大きくなる。 騒がしくて、 他の人にはなにを話してるのか聞こえないようだけど、 はっきりって、 凄い迷惑。 そのことには触れないようにしてたのに、 私も遙人も。 「先輩、 解りましたから、 ちょっとボリューム落としてください。 カッコ悪いですから。」 遙人が立ち上がり、 高山を間に座らせて、 話し出した… 「昔の話ですよ? 俺がこの作品にでるずっと前に別れたんですから。 俺はなんて言われてもいいですけど、 先生は、 そんな噂がたてばそういう目で見られますから、 やめてください。 先輩だっていつか先生の作品に出させて貰うことがあるかも知れなじゃないですか。 失礼なことは言わない方がご自分のためです。 はっきり言ってそうですよ? 前からそう言ってたじゃないですか。 仕事を貰うために近づいたんだって。 あの頃はまだまだ知名度も無かったですからね… 男と女になれば、 いい仕事にありつけると考えたんです。 おかげで何とか賞とか頂けるようになりましたよ。 だけど、 関係が終わったのはもう随分と前の話。 先生はその後に知り合った方とご結婚をされてるんですから、 ヘンなことは言わないで頂きたい。」 柔らかな言い方だけど、 熱を感じる。 そうか… やっぱりね。 遙人には仕事の一部でしかなかったんだ。 だから、 あの、南の島で、 あんなに強引に… アレを逃したら、 きっともうそんな機会なんて、なかったでしょうからね… 「私だって…」 もう、きっぱりと想いを断ち切るんだ。 聞けてよかった。 遙人の本心…
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