第6話

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「本当に、ありがとうございました。 元気な顔が見られて、 すごく幸せな時間を過ごせました…」 咳が収まるまで背中を擦すってた。 少し、遠慮してしまったけど、 あのときの怖いお義母さんとは別人のような優しい感じで、 つい、 駆け寄ってしまったんだ… 「ありがとう。 時々、会ってやってね? できれば、月に一度くらい。 そうね… 月の最初の週末とかって決めておけば、 あなたも予定がたてやすいんじゃない?」 段取りをすぐに組むとことか、 変わってない。 「ありがとうございます。 そうさせていただければ、海翔も喜ぶと思います。 ね、 海翔。」 海翔は、 はい。 と。 何か言いなさい… そんな顔を私がしてたのか、 「おばあちゃん。 ありがとう。 すごく嬉しかった。 ママを学校で見つけたとき。 ずっと… 会いたかったから。 おばあちゃん? 早く元気になって、 また、ホットケーキ作ろうね?」 そうか。 あちらの両親は印刷所で共働きだから、 この子の面倒はお義母さんが見てくれてたんだね… そんなにまでして跡取りが欲しかったということなのか。 あのとき… 海翔が生まれたとき。 本当は嬉しくて、 会いたくて仕方なかっただろうに、 私が避けてたから… この人が悪いんじゃないんだ。 私が悪かったんだ。 仕事をしてるときには、 どんな人でも上手くつき合えると、 自分で自分を過信してたから。 今まで逢ったことのない感じの威圧感のこの人を、 怖い人だと勝手に思いこんで。 広い視野を持てば解ったことが、 今 こんな状態でわかったことは… この人から歩み寄ってくれたから。 私の力じゃなにもできなかった。 改めて、 自分の未熟さを知った…
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