第6話

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「初めて、 おばあちゃんと呼んでくれたね? 嬉しいよ…」 海翔にそう言う。 そう言えば… おばあさんって呼んでたような… 「さあ、もう帰りなさい。 病院にあまり小さな子供を長く居させるもんじゃないわ。 いろんな病気の人が居るから。」 希を見ながら、 そう言って、帰るように促す。 本当は、 このキツい言い方も、 優しさの固まりだったんだ… もっと早く冷静になって感じてればよかった。 そうしたら、 こんな狂った選択なんてしていなかったかもしれないのに。 でも、 違う。 私があの結婚生活を上手くこなして、 私が今、 あの人と一緒に居たなら… 遙人とは出逢えてない。 あの南の島も、 遙人の温もりも、 遙人の優しい横顔も、 なにも知らなかったということだ。 そんなのはイヤ。 もう消せないもの。 私の中から、 遙人の痕跡を。 希が笑ってる。 お義母さんを見て。 子供には解るのね… 人の本当の顔が…
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