第6話

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「で どうだった? 久々の再会。 どんな様子だって? 向こうの家。」 部屋に帰ったと洋子さんにメールすると、 すぐに飛んできた洋子さん。 ヘンな時間に眠っちゃったから、 希は元気がいい。 離乳食を作りながら、 洋子さんが希を抱っこして、 キッチンで立ち話。 「うん。 良くしてもらってるみたい。 優しいって言ってた。 頑張ってるのよあの子も。 だけど、 私に会いたいとは言えなかったみたいね… 昔から遠慮するのよ、あの子。 可哀想な育て方しちゃったかも。」 お豆腐とごはんのおじや風の離乳食。 食べさせながら、 話をする。 洋子さんも我が子に逢いたいんだろうと想う。 母親だから… 当たり前の感情。 「私もいつか逢えたらいいかな。 大きくなったら逢いたいって言ってきてくれると、 信じてる…」 うん… きっとそうなるよ。 「でさ。 昨日、遙人がさ、 澪は幸せなんですよね? って聞くのよ。 だから、 幸せよって言ったの。 あんた、外人さんと結婚したことになってるんだって? 何でそんな嘘ついたのよ。 驚いちゃった。」 あ、そうか。 あのときに話したことがやっぱり遙人に伝わってるんだ。 「遙人の俳優仲間にバッタリ逢っちゃったの。 希が産まれる前。 おなかが大きかった頃。 ほら、 産婦人科、海翔を産んだ所まで通ってたでしょ? あのときにバス停でね… 私のおなかを見て、 結婚したんですか? って聞くからさ… したって答えたのよ。 誰ですかって聞くものだから、 誰にも詮索されないようにって、外国のひとって答えたの。 何やってる人とか言ったらさ、 憶測が噂されたりするでしょ? イヤだから。 そう言うの。 遙人の耳にも入るだろうし… 実際、入ってるし。 だから、 つい、 そんな嘘、言っちゃったの。」
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