第1話 始まりは…

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「もうこなくていい! とんだお荷物だ。」 きっとそんなことを言ったんだと思う。 ボスが… 早口で言われて、理解が出来るのに暫く掛かった。 1年前。 日本にいるときには結構な出来る女だった。 入社2年目で大きなプロジェクトに参加させてもらって、先輩たちに紛れていい刺激ももらった。 いい気になってた。 みんなもそう言ってくれていたし、自分でもそう思った。 いつかは世界を相手に仕事がしたいと英会話も習って、教室の中でいちばん拾得が早かった。 先生が言うことはだいたい理解できたし、これでいつでも世界に羽ばたけると感じていた。 私生活では大学の同期のショウともう4年のつきあいで、 お互いに忙しくしていても、週に一度は会ってどこかにお泊まりをしていた。 唯一、女に戻れるとき。 無理に時間を作れとはお互いに言わないし、 仕事を優先してきた。 そうしようと、話をしたから。 縛りたくもないし、縛られるのもイヤだったから。 でも、この関係が気に入っていた。 そして、転機が訪れる。
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