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第2話 動き出す #2
「で?」
ジョイが聞く。
それからは、ご存知の通り。
というと、
「恋人はどこに出てくるの?」
やっぱり言わなきゃダメ?
そんな顔をしていると、
笑って頷く、ジェイ。
「彼の名前は、ショウ。
大学時代の仲間で、卒業してから暫くしてお付き合いを始めたの。
お互い仕事に慣れるのが精一杯で、うまく行かないことばかりだったから
愚痴を聞いてもらったり、気晴らしでお酒を飲んだりしているうちに、
好きなのかなって。
でも、いつも一緒って訳じゃなくて、
都合のいいところで会って、話をして。
そんな感じで。
4年くらいかな…
お付き合いした頃に、私がこちらに来ることになって…
なんか言い合いみたいになって、そのままこっちに来てしまいました…」
最初は微笑んで聞いてくれていたのに、
だんだんと切なそうな顔になっていく。
「連絡…
とってないの?」
「一度だけ…
前の会社の契約を打ち切られたときに電話しました。
でも、、またケンカみたいになったから…
それからは電話もしてないし、掛かっても来ていません。」
寂しくない…?
あ、また…
一筋だけ上手く纏まっていない髪の毛が、顔の前に落ちてくる。
それをジェイは手を伸ばして直してくれる…
「寂しくなんか、ないです。」
寂しいなんて、考える余裕もなかったし…
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