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第3話 誓う #3
そんなに人が苦しむのが見たいのか…?
そんな人間じゃないはずだ。
苦しむ人が居なくなるようにと、警察組織に入ったんじゃないか…
でも、
ジェイだけは許せない。
アイツがケイトに声さえ掛けなければ、
あんな夫婦、いつかは破綻していたはず。
大金さえ握らなければ、ケイトは死ななくても済んだんだ。
そんなねじれた怨念。
そんなことを思う自分も、立場を守るために何の抵抗もしなかったんだ。
告発さえしていれば…
ケイトは、あんな仕事をする事も、
大金を手に、命を落とすこともなかっただろうに。
連れ出した彼女…レイは、
全く疑うことなく、俺の話を聞く。
まっすぐに、真剣に。
そのまっすぐな瞳が、どうしてもこの邪悪な気持ちを見透かしているように思えて…
用件だけを伝えて、部屋に残した。
帰りたかったら帰るだろう。
電話だってできるし、
ジェイがやってきたことを、
ジェイが一番大事な人に伝えただけで良しとしよう。
この…
純粋で知らない土地で頑張ってる彼女を、
あんな仕事に引き込むことは、やっぱりしたくない。
ケイトだって、怒るだろう…
そう思って、朝、ボスに詫びの電話を入れようと思っていたんだ。
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