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「今、下で…」
いつもの会議室。
伝えなきゃいけないことがある。
でも、その前に今のことを伝えておこうと決めた。
これからも外でうろうろしそうな雰囲気があったから。
ここに来るときには誰も寄せ付けない。
あんな話を誰かに聞かれるわけにはいかないから。
もちろんレイにも。
「ああ…」
気のない返事。
「レイを探してる日本人の男がいた。」
一瞬で顔色が変わる。
「話をしたのか…?」
察したのだろう。
レイの日本での恋人だと。
「ああ、話しかけられてな…
写真を見せられた。
この子を知らないかと。
知り合いがこの辺で見かけたと言ったらしい。
どうする?」
どうする…?
なんて、相談してそれこそどうするつもりなのか。
「なんて言った?」
そうだろうな…
「自分の知ってる子かどうかはっきりしないが、
その子だったらすでに恋人がいると伝えた。
それでもいいからレイかどうか確認したいと。
だから改めて連絡すると帰らせた。
連絡先、
知りたいか?」
知りたいという。
だから、教えた。
「それと、今日来たのは…
まあ、いい。
ちょっと確認してからだ。
来週、月曜日の朝には迎えに行く。
それまでゆっくり休ませてやってくれ。
くれぐれも、レイの体に跡など付けないように。
それと、
承知だとは思うが、
あのことは絶対に気付かれるな。
その男に。」
ダメだ。
ジェイはきっと普通では居られないだろう。
何かやらかしでもしたら、上手く行くものも行かなくなる。
あの件は私がなんとかしなければならない。
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