第4話 心配

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どうしておまえはそうなんだ…? レイの事となると、冷静なお前はどこかに消え失せる。 うろたえて、少年のような怯えた目をする。 初めてこの男を見たとき、 2歳年下のこの男が妙に偉そうで、 なにも怖いものなどない態度で… 妹のことがあったから余計に腹立たしかった。 私はやっとお前に辿り着いたというのに… 複雑な気持ちだ。 きっと私も同じ顔をしてるんだ。 表情には出さないけれど、 ジェイの気持ちが手に取るように解るんだから。 レイのことを考えるとき、ジェイの顔が頭に浮かぶ。 レイだけを思い出したいのだけれど、どうしても考えてしまう。 今頃… レイはジェイの腕の中で… あの唇で、 ジェイにキスをして… あの瞳で、 熱く見つめて… あんな顔をしているのか… なんて、 絡み合うふたりを想像してしまう。 そんな想像をするくらいなら、 あの方に抱かれているレイを想像する方がマシだ。 愛がないんだから。
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