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と言ってみても事はなんの解決にもならない。
私に出来ることは、彼女を少しでも苦しめないこと。
なんとか契約の期間を無事に終わらせること。
だからあのことをジェイに告げなかった。
ジェイが取り乱すと、彼女はどんなに辛いか…
考えなくても想像できる。
車を離れたところに停めて、電話を見つめる。
大きな息を吐いて発信ボタンを押した。
「昨夜の件ですが…」
待っていたようだ。
「今、ジェイに会ってきたのですが、
相当参ってて…
精神的なことを考慮して、今回はやめておいた方がいいと思います。
思い詰めて何か仕出かしでもしたら、スキャンダルになりかねません。」
相手はフィリップ。
愉快そうに笑っている。
「そんなに入れあげていたのか?
たかが女に。」
たかが…
そうだよな…
あんたもかわいそうな人だ。
「ええ。彼はもう再起不能かと…」
高笑い…
「簡単なもんだな…
あれだけ楯突いておいて。
じゃあ、いい。
バカな男は早く切り捨てろ。
でも、忘れるな。
コレはひとつ貸しだぞ?」
やっぱりそうきたか。
どこまで卑劣なヤツなんだ。
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