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ジェイたちの居るビルから少し離れる。
偶然に出逢いでもしたら、話はややこしくなるから。
ざわついたコーヒーショップ。
近くの学生が話す声が結構うるさい。
「彼女の名前は、レイ ノノウエ。
レイと私は学生の時の同期です。
大学を卒業してから付き合い始めました。
でも、2年ほど前、急にこの国に来ることになったと、
なんの相談もなしに告げられたのです。
ケンカになりました。
そろそろふたりの将来など、考えていたからです。
止めても、彼女がやめる訳はない。
長いつきあいで、それは解っていました。
だからもういい。
そう思ったんです。
でも、彼女が行ってしまって、止めるべきだったと後悔しました。
移動願いを会社に出し続けて、やっとこの春、移動になりました。
どこをどう探しても、彼女は居なくて…
引き抜かれた会社は、数ヶ月で辞めたと言うし、
すんでいたはずの部屋もそのときに引き払われていて。
日本に帰っているのかと友人に聞いても
そんな話は聞いていないと。
きっとこの国で、困っている筈なんです。
帰るお金もなくて、どこかで震えてる。
そんな気がするんです。
でも、今年のはじめ、
そのことを伝えようとメールをしたら、
こちらで、愛してる人が居るという返事が返ってきました。
そんなのは強がりに決まってる。
そういう子なんです。
一度決めたら、どんなに苦しくてもやめない。
それなのに、泣き虫で…
早く助けてあげないと…」
わからない。
何でこんなにややこしいのか。
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