16人が本棚に入れています
本棚に追加
「そのときは、諦めます。
レイが新しい人生を選んだのですから、
私にはどうすることも出来ません。
でも、知らない土地で不安だったから、
そんな勘違いをしているとも限りませんし…
一度だけ、電話をくれたことがあるんです。
きっと、前の会社を辞めさせられた時ぐらいだと思います。
そのときはそんなことになってるなんて知らなかったから、
レイには無理だったんだって、帰ってこいと言ってしまったんです。
本当は私が帰ってきて欲しかった。
無理だとわかれば、帰ってくるだろうと思ったんです。
そうしたらまた…
でも、
彼女は、時にヘンなスイッチが入るんです。
無理だと言われたらムキになる。
出来っこないと言われたら、やってやろうとする。
そんなヘンなスイッチが…
解ってたのに、学生時代からのつき合いだから。
でも、言ってしまった。
それから連絡が取れなくなってしまったんです。
心の底から信頼できて、幸せならばいいんです。
私も仕事に集中していつか日本に帰ります。
それを見届けたいと思うんです。」
なんだろうか…
何がこの男をそこまでさせるのだろうか。
この私でさえ、
自分の気持ちをコントロール出来なくなっている彼女とは…
いったい何者なのか。
この男にレイを逢わせられない。
本能的にそう思った。
「私の知っているその女性が、あなたが探している人だったら…
最初のコメントを投稿しよう!