第4話 心配 #2

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「つけるときは平気だったのに…」 アーレフから頂いた指輪が取れない。 キツいとは思ったけど、関節を過ぎたらなんともなかった。 それなのに外れない。 ジェイの指輪を外して、それよりも大きな石の指輪を付けて帰るわけにいかない。 どうしよう… 指は真っ赤になるし、痛くて力を入れられない。 「乗り換えで降りたら、ソープを付けてみれば?」 心配そうにオリバーさんが言う。 はい… 「やっぱりダメです… どうしよう…」 オリバーさんが私の手を取って、指を見る。 「腫れてるなあ… 湿布を貼って寝たら明日には取れると思うが。 どうする?」 どうするって… このまま帰れないよ… 「明日にするか? 帰るの。 ジェイには乗り換えに間に合わなかったとでも電話しておく。 湿布とオリーブ油を買ってホテルを探そうか。 その前に、食事をすませて。」 私の気持ちが解るみたい。 今の気持ちのままじゃ、ジェイに合わせる顔が無いという気持ちが。 「はい… よろしくお願いします…」 ジェイの顔が早く見たいと言う気持ちはもちろんある。 でも、 私の顔はジェイには見られたくない。 こうやって、言えないことがこれから増えていくんだ。 きっと… ジェイは、そんな私のことも… 好きでいてくれるだろうか。
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