16人が本棚に入れています
本棚に追加
**
どうしただろうか…
ジェイに、あの男のことを伝えた。
レイが居ない間に会って話すと言っていたが、
そんな精神状態で居られるのだろうか。
こっちもこっちで心配。
レイが…
きっと自分でもどうしたらいいのか解らないのだろう。
あの方をアーレフと呼び、心を通わせたいとおっしゃったと。
ただの気まぐれじゃなかったのか。
いつものように、欲望だけで
レイを選んだんじゃないのか。
レイがジェイの恋人で、
フィリップが嫌がらせのために、選んだだけじゃなかったのか。
どういうことだ。
自分から誘えばいいのかと聞く。
そんなことはしなくてもいい。
いや…
あの方は、それほどレイを大事にしたいと思ってる…
ということか…?
何も言えなかった…
自分から誘うレイを考えたくないし、
かといって、
心を通わせようとする、二人を見ていたくない。
何で私は…
ここに居るんだ。
移動中の飛行機の中。
簡単な仕切りの後ろでは…
二人が囁き合っている。
楽しそうに笑ったり、時折物音がしなくなったり。
心配になって、
物をとるフリをして後ろを覗く。
隙間から見えた二人は…
濃厚な口付けを交わしていた。
抱きかかえられて、髪の毛を撫でられながら、
あんな顔をしていた。
見るんじゃなかった。
「あまり、いい趣味とは言えないな…」
眠っていると思っていたフィリップが、目を閉じたまま言う。
「そんなつもりじゃ…」
最初のコメントを投稿しよう!