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第4話 心配 #2
いつかジェイが乗せてくれたプライベート着よりはるかに豪華な内装の飛行機。
それに大きい。
ソファーにキャプテンシート。
何人乗れるのか…
コックピットのすぐ後ろにオリバーさんとフィリップさんが座って、
ソファーに私とアーレフが座る。
「ずいぶんと地味な服装だ。」
私を見てそう言う。
「メイドですから。」
意地悪な顔で笑っている。
嬉しそう。
「時間が参りました。シートにお座りください。」
シートベルトをして、アーレフが私の手を握る。
「このジェット機に乗る女性はレイが初めてだ。」
耳元で囁く。
くすぐったい。
「奥様は?」
途端に顔が曇る。
「あれは飛行機には乗らない。
どこに行くにも船か汽車か車だ。
他人を信じられないんだってさ…
哀れなもんだ。」
それ以上言うな。という空気が流れる。
離陸して、ソファーに座り直す。
オリバーさんたちが座っている席との間の仕切りを締めて、
二人の空間。
「今日なにしてた?」
途端に甘えた顔になる。
「部屋でゆっくりしておりました。
お昼にはオリバーさんと食事をして、荷物を片づけてこちらに参りました。」
「なんだ…
買い物でもしてくればよかったのに。
そうだ。
空港に着いたら買い物にでも行くか?」
思いついたように言う。
「それはいけません。
私は、メイドですから。
ご一緒できるのは、部屋の中だけです。」
「キスしていいか…?」
見つめる顔が、切ない。
黙って頷く。
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