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「お母さん。」
眠っている母親の手を握る。
2年近く見ていない母の顔は、
半分位になっていた。
キレイだった肌も、シワシワでくすんでいる。
苦しんだ様子。
見ていられない。
「レイなの?」
目を覚ました母親が、掠れた声を発する。
母の布団に突っ伏した私の背中をジェイが撫でてくれていた。
「お母さん…」
それ以上、何も言えない。
「キレイになったね…」
掠れた声で、やっと出た声が、
愛しく私に届く。
私の顔を、手のひらで撫で回し、
髪の毛を紡ぐように、指を絡ませて…
小さい頃、大好きだった。
お母さんに髪の毛を束ねてもらうのが。
「あら、そちらの方…」
ジェイの事を聞いた。
今まで、私しか目に入っていなかったようだ。
「ジェイよ。
私が勤める会社のボス。
それから…」
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