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「どうした?」
オリバーさんが聞く。
「いいえ。
何でもないです。」
言えない。
ジェイが解らないなんて。
「オリバーさんも行ってくださるんですか?」
休暇だと言うことなのに、私に付き添ってくれるんだろうか。
今までとは違うはず。
今までは昼間、アーレフは仕事で居なかったから、
その間に昼食を一緒に取ったりして、
気を抜ける時間があったけど、
休暇だから、多分、ずっと一緒だと思う。
アーレフと。
それでも、一緒に居ってくれるの?
「もちろんだ。
着いたらなんて言われるか解らないけど。
一応、私も一緒に行くとは言ってある。」
良かった…
なんか、安心できる。
オリバーさんの存在があるだけで、
なんか、
心強いんだ。
このときだけは。
「良かったです。」
空港で、搭乗を待つ。
朝早かったから、随分と早く着いた。
「コーヒーでも買ってくる。」
と言ってオリバーさんが席を立った。
自然に視界に入ってきたあの場所。
ジェイが迎えに来てくれて、抱き締められたあの場所…
あのときは、ジェイの気持ちが痛いほど解ったのに…
あのときは、愛されてるって、
すごく感じたのに…
ジェイ…
何か言って欲しかった。
待ってるって。
ここに帰って来いって。
涙が流れてた…
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