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「そんな顔するな。」
いつの間にか私の隣に座っているオリバーさんが、
コーヒーを私に持たせて、
ポケットからハンカチを出して渡した。
「すみません…」
それを受け取って、頬を拭う。
「そんなにイヤか。
まだ先は長いぞ。」
言葉はキツいけど、なんか言い聞かされてる感じ。
イヤな感じはない。
「そう…
じゃないんです。
この仕事はこの仕事としてキチンとします。
自分で決めた事ですから。
最後まで、責任を持って。
だけど、
ジェイは…」
でも、言えない。
私生活のことまでオリバーさんに心配をかけるわけにはいかない。
ショウのことでも、いろいろと世話になってるみたいだし。
「ジェイがどうかしたのか。」
いい人。
こんな眉間にしわを寄せてばかりの怖い顔の人なのに、
本当はいい人なんだ。
「いいえ。
なんでもありません。
私生活のことまで心配をかけるわけにはいきませんから。」
コーヒーを口に運んだ横顔が、少し怒ってる。
一息ついて、
「前に話したことがあったと思うが…」
オリバーさんが、ゆっくりと話し始めた。
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