第5話 視線は #3

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「そんな顔するな。」 いつの間にか私の隣に座っているオリバーさんが、 コーヒーを私に持たせて、 ポケットからハンカチを出して渡した。 「すみません…」 それを受け取って、頬を拭う。 「そんなにイヤか。 まだ先は長いぞ。」 言葉はキツいけど、なんか言い聞かされてる感じ。 イヤな感じはない。 「そう… じゃないんです。 この仕事はこの仕事としてキチンとします。 自分で決めた事ですから。 最後まで、責任を持って。 だけど、 ジェイは…」 でも、言えない。 私生活のことまでオリバーさんに心配をかけるわけにはいかない。 ショウのことでも、いろいろと世話になってるみたいだし。 「ジェイがどうかしたのか。」 いい人。 こんな眉間にしわを寄せてばかりの怖い顔の人なのに、 本当はいい人なんだ。 「いいえ。 なんでもありません。 私生活のことまで心配をかけるわけにはいきませんから。」 コーヒーを口に運んだ横顔が、少し怒ってる。 一息ついて、 「前に話したことがあったと思うが…」 オリバーさんが、ゆっくりと話し始めた。
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