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「すまない。」
オリバーさんが謝る。
「私がこの世界に引き込んでしまったばかりに、
辛い想いをさせてる。
あのとき、
私の所で、この話を留めておけば、
そんな辛い想いをしなくても済んだのかも知れない。
本当に、後悔してる。」
そんな…
オリバーさんは仕事をしただけでしょ?
あのときは、
怖い人だと想ったけど、
オリバーさんが居てくれるおかげで、
どれだけ助かってるか…
それに、私が受けなければ、
ジェイがどうなるか解らなかった訳だし。
妹さんと同じスタンスで接してくれて、
嬉しい。
そう思った。
「オリバーさんは悪くないです。
逆に助けて頂いてます。
本当に、感謝してます。」
なんか、
泣いてる自分が情けない。
ジェイも傷ついてる。
私より辛いのかも知れない。
自分のせいだって追いつめられてるのかもしれない。
「ジェイはレイのことを愛してるよ。
ずっと変わらない。
お母さんのことは残念だったけど、
嬉しそうに俺に見せたよ。
結婚式の衣装を着たふたりの写真を。
レイの作品も見せてもらった。
なんとか世に出したいと言ってた。
愛してるから、
自分のせいだって辛いんだと想う。
そんな顔するな。
男は感情を隠すのが下手な生き物なんだ。
3年なんてあっという間だ。
すぐに終わる。」
うん…
ありがとう。
そう思うことにする。
搭乗ゲートが開いて、ざわざわと人々が動き出す。
行かなきゃ…
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