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第5話 視線は #3
レイはオリバーと出掛けた。
もうひと月。
日本から帰ってきて。
行き先は解ってる。
たぶん、エステ。
一人で行けるとレイは言ったが、
オリバーがあの男のことを気にして、
迎えにきた。
さすがに俺には着いてこないで欲しいと言った。
あの方に会うために、
自分を磨いている私を、
見られたくないと。
そうなんだ。
俺は、何とかすると思いながら、
どうしようもできないんだ。
できれば早く、
少しでも早く終わって…
何でもなかったように暮らせたら
いい。
とまで考えてる。
どこまでも狡い俺だ。
何でもないような顔をしているレイに少し腹が立ったり、
ワザと心配かけるようなことを言ってみたりしてる俺が、
情けなくて、
俺にレイを愛する資格があるのかとさえ考えてしまう。
さっきだってそうだ。
「そんなに短いスカート履かなくてもいいんじゃない?」
なんて出かけるレイに言った。
「そう?
何度も履いてるじゃない。
普段着よ。」
笑うレイが、憎らしかった。
「綺麗にメイクして。
楽しそうだな。」
その言葉には、
さすがにレイは黙ってしまったけど。
何であんなこと、
言っちゃったんだろうか。
レイの気持ちは、
十分解っているつもりなのに…
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