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第5話 視線は #4
「次はいつ、お会いできますか?」
ん?
って眉を上げる。
ヘンなことを聞いたかな…
「今日来たばかりなのに、もう次のことか?
そうだな。
はっきりとは解らないが、おそらく、10月かそこらか。
クリスマス休暇は、遠慮しておくよ。
一番大事な人と過ごすものだから。」
ああそうか…
アーレフには家族が有るんだ。
私とは一緒に過ごせないって言ってるんだ。
聞かなきゃよかった。
気を遣わせてる。
「勘違いするな?
私の方が遠慮をしてるんだからな?
レイにはレイの生活があって、
帰ると待ってる人が居るって知ってるから。
だから。」
視線をテレビに移す。
フランス語の歌とともにエンドロールが流れていた。
「本当は、その人の元にさえ帰したくはない。
レイをずっとこうしてこの腕の中に閉じこめておきたい。
だけどな。
期限が有るから。
ウェルカムレディーをこんな風に連れ出すことはしなかった。
レイが初めてだ。
滞在先のベッドの中だけ一緒で、
それ以上は何の感情も湧かなかったんだ。今まで。
自分でも戸惑ってる。
期限が来て、
もう二度と会えない日が来て、
それでも普通にしていられるのかと考えると、
どうしていいか解らないんだ。
まだまだ未熟だな。私は。」
テレビの画面は、もう映画会社のマークが写ったままで動かない。
それでも、その画面を見ながら、
アーレフは話を続ける…
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