第6話 揺れる覚悟

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料理人のカワサキさんに頼んで、料理を作らせてもらう。 なんと言っても、うちではお寿司。 ちらし寿司。 食材なら何でもあった。 エビもマグロもいくらも、 しいたけ、かんぴょう、卵に桜でんぶまで。 私が日本人だと言うことで、準備してくれていたのだろう。 いつかちらし寿司を作ってくれようとして。 料理人のカワサキさんが作るほど上手には作れないけど、 やっぱり、たまには料理がしたくなる。 ジェイの家では、アンジーと一緒にキッチンに立つこともよくあったんだ。 キッチンに立つ間、アーレフは落ち着かない様子で、 何度も顔を出す。 子供のように、 おなかを空かせた、子供が顔だけ出して、 様子を伺うみたいに。 「アーレフ、 お箸、お上手ですね。」 初めて。 アーレフがお箸を使って食べてるところ。 「日本料理は今や、世界中どこでも食べられるからね。 でも、どこで食べたのより美味しいよ。 レイは料理人になりたかったのかい?」 お母さんの味を誉められて、すごく嬉しい。 私のちらし寿司は、お母さんがよく作ってくれたもの。 お姉さんも同じ味で作ってくれたっけ。 懐かしいなあ。 「どんなお料理を、召し上がりました?」 世界中って、どんな物が食べられるの? 「うどん。 トンカツ。 ラーメンに、 お寿司。 すき焼き。 で、あと、何かな。 たこ焼き?」 嬉しそうに思い出す。 私と一緒の時は、すごいお料理ばかりなのに、 そんな… 庶民的な食べ物… だいたい、ラーメンって、日本食なの? 「おかしいか?」
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