第6話 揺れる覚悟

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「……レイ…?」 私を呼ぶ声。 ヘリの中から水面を眺めてる私を呼ぶ声。 「あ、はい。すみません。」 オリバーさんが呼んでた。 「大丈夫か? 顔色が悪い。」 そうなの? 気分は悪くない。 考え事をしていただけ。 「大丈夫です。」 「うん。ならいいが。 今日は途中で泊まらないといけなくなりそうだ。 時間的に上手く乗り換えが出来そうにない。」 よかった。 その方がいい。 このまま、ジェイが待つあの街に近づいていくと、 どこかで壊れそうな気がしてた。 「はい。 その方が助かります。」 何か言い足そうなオリバーさん。 でも、ヘリの中は音が凄くて、 話はそこで終わった。 朝、 起きて、アーレフが居ないから、 また、もう早く起きてリビングに居るものだと思ってた。 だから、シャワーを浴びて、薄目のメイクをして、 下に降りた。 お別れの朝食をとるために。 でも、 リビングに手紙が一枚。 「レイ。 かわいい私のレイ。 素敵な時間をありがとう。 次に会う日まで。」 とだけ書かれた手紙が残されていただけ。 「旦那様は、今朝からお仕事だとおっしゃって。 ですからおひとりですが、 朝食のご準備を致します。」 そう言った、メイドのベティに、 「朝食はいりません。 私も帰りますね? いろいろとありがとうございました。 リリィにもよろしくお伝えください。」 本当によくしてくれた。 こまめにドリンクを運んでくれたり、 少し離れたところでいつも見ていてくれて、手が届くお世話をしてくれたんだ。 よく、教育されて居ると感心したモノだった。 料理人のカワサキさんにもお礼を言って、 早々と島を後にしたんだ… 広すぎるこの島を。
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