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降りたった小さな町で、
俺はただ部屋にいた。
食事に出る以外、殆どを部屋で過ごした。
帰ろうとも考えた。
2週間もこんな小さな部屋に居るのは、
息が詰まるかと思ったから。
だけど、あの道のりを帰って、また、こっちに来て、
それからすぐにとんぼ返りをすることを考えたら…
あんな場面を目撃してしまったから、
体の力が抜けて、
動く気にもなれなかったんだ。
「あの女も、結構その気なんじゃないのか?
嬉しそうだっただろ?
イヤイヤって感じじゃない。
あんた、どうする?」
フィリップが言った。
俺が苦しんでいるところが見たいのか?
わざと、そんなことを言うフィリップには返事をしなかった。
「あの女がその気なら、3年経っても関係を続けるかもしてないな。
ジェラルドの元に帰らずに、
ボスの常婦になったりして。
まあそれもいいかもな。あの女にとっては。
日の目は見れないかも知れないけど、
贅沢は出来る。
なんでも手にはいるんだ。
強かな女はそれを求める。
そういう女、今までにも何人も居たからな。
あんたもタイヘンだな。
ボスを相手にしても、勝てる訳ないんだから。
だから女は嫌いなんだ。」
女嫌いなのか?
まあ、そんなことはどうでもいい。
町について、フィリップはひと仕事あるからと、
別れた。
レイ…
本当は違うよな?
これは仕方がないって言い聞かせてやってるんだよな…
そう信じてるから。
日の光を浴びて、
絡まってたあの二人の姿を記憶の中から追い出そうと…
ベッドカバーに潜り込んでた。
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