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飛び立ったヘリが、高度をあまり上げずに海の上を飛ぶ。
レイは、水面に視線を落としたまま、
何もいわない。
昨日。
島に到着したときも、
レイはあの方の隣にいた。
寄り添うように、恋人同士のように。
島を出たときと同じに見えた。
どれだけ抱き合ったのか。
想像してしまう。
だから、レイの顔が見れなかった…
バスルームも冷蔵庫も部屋の中にある。
だから、部屋からは出なくてもいい。
それだけが救いだ。
メインダイニングが見えない入り口から、
セカンドダイニングに抜ける。
食事を済ませて、急いで部屋に帰る。
フィリップが帰りに言ってた。
明日は早朝に島を出るから、
5時には支度をして、お見送りをするようにと。
だから、少しでも早く眠りたかったんだ。
眠れるなんて、思っていないけど。
レイたちも、早々に部屋に帰ったのがわかった。
都会とは違い、
音は人間が出す僅かなものだけ。
窓を閉めると、外の波の音や、風が吹き去る感じもぜんぜん聞こえないから。
レイの何か話す声とともに、あの方の笑い声が聞こえて、
ドアを閉める音が聞こえた。
これから、あの部屋で…
そう考えると、ますます眠れるわけはない。
ジトっと汗をかいてきて、
シャワーを浴びる。
部屋の中の空調は、恐ろしいほど効いているのに。
4時半に
アラームをセットして、枕に顔を押しつける。
もう、2時。
こんな真夜中。
もう眠ってるよな。みんな。
ドアスコープを覗く。
やめときゃいいのに。
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