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「予防線を張ってる。
レイには愛する人が居るって、言い聞かせてる。
私自身に。
義両親はクリスマスを盛大にお祝いしてたけど、
元々は違う宗教だったんだ。
だから、心から祝えない。
母親はどう思うかって考えたらな。
静かに死んだ母親を思う日にしてるんだ。
義両親から独立してから。
レイは信仰が有るのかな?」
信仰か…
よく解らないけど。
「日本では、仏教が主流です。
人が亡くなったら、お経を唱えてもらって送ります。
でも、仏教徒という感覚で居るわけでは有りません。
クリスマスはお祝いしますし、
その何日か後のお正月には神社にお詣りに行くのです。
私にもよく解りません。
意識して、どう…
ってことが無かったですから。」
難しい…
私が考えなさ過ぎなのかな。
そうか。良かった。
アーレフが少し笑った。
「世界では宗教によってトラブルが起きてるからね。
そんなことに巻き込まれて命を落とす人も少なくない。
幸せになりたいから信仰するのに…
何かが違ってるんだ。
それを解って欲しい。
元々は、私はそういう意識で事業を始めた。
力を付ければ、
何か方法が見つかるかもしれないと思ってね。
だけど、
大きくなればなるほど、
私の意志だけでは動けなくなってるのも事実だ。
人生と同じだ。
思うように行かないのは。」
少し諦めにも似た笑い。
乾いたような微笑みだった。
こんな…
なにもかも手に入れているような人でも、
思い通りにならないことが有るんだって、
私なんかが思うように生きられないのは、
ごく普通のことなんだって、
改めて、思い知らされた。
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