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世界を何周しても面白いアーレフの話。
アーレフは話術という魔法の力を持っているのかも知れない。
「そんなに愉しいか?」
話の途中で、時々聞く。
「はい。とっても。」
きっと、お母さんの話を夢中になって聞く子供のような顔だったに違いない。
それなら…
と、
何時間でも話してくれるアーレフは、
きっと、もう疲れているんだろうと思うほどだ。
ここに来て数日。
今日こそは海に行こうとアーレフが言う。
「ビーチはここしかないんだ。
まだ、他には鮫避けネットを張っていない。
今度来るまでにはちゃんと整備しておくよ。」
なんてさらっと言う。
鮫が居るんだ…
怖くて入れない。
いくらネットを張っているからと言って。
「アーレフ、ごめんなさい。
海は怖いの。
泳ぐのならプールがいいです。」
申し訳なくて。
「そうか。
すまない。
知らなかった。海が怖いなんて。」
穏やかに流れる時間。
外の気温は高いけどさらっとしていて、
暑いけど、まとわりつくような気持ちの悪さはない。
本当に別世界。
日本とも、ジェイと暮らす街とも違う、
違う星。
きっと日常に戻るのに、時間がかかるんだろうと思う。
それでも、今は、
アーレフとの時間を楽しんでいる。
メイドの女の子とも仲良くなった。
仲良くと言っても、私が話しかけることしかなかったのだけど。
だけど…
時々、自分に問いかける。
これでいいのか。と。
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