第6話 揺れる覚悟 #2

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この手を離したら… もうレイは居なくなってしまう。 だから、抱きしめた腕を離せなかった… でも、レイは、 俺にそっとキスをして 「行くわね。 辛くなっちゃうから。 荷物を整理します。 みんなに挨拶ができないけれど、よろしく伝えてください。 本当に、 わがままを言って、ごめんなさい。 ジェイ… 愛してる。」 そう言うと、 俺の手を離した レイの香りに手が届かなくなるほど離れると… 涙に塗れた顔が、 そっと微笑んだ… ドアを開けて、 小さく手を振ると… パタン。 と、 俺たちを隔てる音がした… 音も 色も 空気も 温度もない そんな空間になったようなこの部屋。 レイが居なきゃ… ここにはなにもないんだ… ただ 俺たちを隔てたドアを見ながら… 泣いてた。
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