第6話 揺れる覚悟 #2

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最初に行ったのは家具屋さん。 オリバーさんはベッドを選べと言う。 そうか… 日本じゃないんだし、 お布団敷いて寝るってわけには行かないのよね… シングルのなんでもない木のベッドを選んだ。 そこでラグとデスクも選んだ。 そんなにいいのにと思ったんだけど、 考えてみたら、作品を作るぐらいしか出来ないし、 そのためにはデスクは必要だし。 そして、 オリバーさんが選んでくれたひとり掛けのカウチソファーと。 店の人に、今日配達してくれと言っている。 今日寝る場所がないのだからと。 そういう強引なところ、 初めて会ったときの感じを思い出す。 配達は8時だと聞いて、 食事。 あまり食欲がないというと、 簡単なサンドウイッチをいくつか買って、 マンションの近くのスーパーマーケットに寄った。 「ここなら歩いても買い物にも来れる。 私が留守がちだし、 うちにはメイドなんか居ないから。」 と言って、カートを押して歩き出す。 「好きなの買っていいから。」 と、私のスピードにあわせて歩くオリバーさん。 気を遣ってくれているのがすごくよく解って、 なんか申し訳なくなる。 私のわがままのせいで。 飲み物や日用品はカートに入れていくけど、 食材は何も買わないから… 「食べ物、買わないんですか?」 と聞くと、 「また明日から3日ほど出張だから、 買っても無駄になる。」 と。 私がトーキョーで時間を潰したから、 オリバーさんは休みが取れなかったんだ。 「ごめんなさい。 休みを無くしちゃいましたね。 私のせいで。」 「いや。 そうじゃない。 待ってる間に連絡がきて、 明日から出られるかと聞かれたから、 行けると答えただけだ。 レイのせいじゃない。」 そう言いながら掃除の洗剤をカートに入れた。
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