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第7話 自分と向き合う #2
そして3日後。
帰るとレイが食事を作ってくれていた。
玄関を開けるといい香りがして、
「オリバーさん。
お帰りなさい。
お食事、作りました。
お食べになりましたか?」
なんてエプロン姿で言うから…
ちょっと顔が緩む。
「そんなことしなくてもいいのに。」
なんて言いながら、きっと嬉しそうな顔をしてたと思う。
レイがジッと顔を見るから、
「食べてない。
頂くよ。
悪いね。」
なんて言ってしまったんだ。
途端に嬉しそうな顔をするから、
ああ、間違ってなかったんだって感じた。
箸の持ち方を教えてくれた。
日本食のレストランに行ったことはあるけど、
箸なんて使えないから、いつもフォークで食べてたんだ。
ちょっとカッコ悪いけど。
なかなか難しかったけど、
少しずつ使えるようになりたい。
きっかけがなかったんだ。
箸を使うなんて事の。
これも必要なことだ。
日本食ブームだったりするから。
「チキンのスパイスがよく解らなかったから、
日本流の唐揚げです。
和食がお好きかどうか解らなかったけど、
こんなものしか作れないの。
お口に合いますか?」
どれもこれも、
初めて食べたものばかりで、
すごくおいしい。
仕事中の外食や仕事終わりのテイクアウトばかりの食生活だから、
こうやって家で作ったものを食べることはここ数年、なかった。
ケイトが居なくなってから。
なんか本当にケイトのように思えてきて…
つい、無口になる。
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