第8話 そして…

3/27
前へ
/35ページ
次へ
** 私はアーレフに仕えるためにだけ、 この2年半を生きてきた。 そうしたかったから。私が。 アーレフと逢ってるときはアーレフを愛して、 ジェイの元に返ると、 ジェイに愛される。 そんなことは無理だと知ってたから。 私にもジェイにも。 ジェイのことを忘れてた訳じゃない。 ジェイのことはずっと頭の中にあった。 でも… 口には出来なかった。 ジェイという言葉を口から吐き出すと… 止められなくなってしまいそうだったから。 あと少し… あと少しで逢えると思うと。 怖くて。 逢いたくて、 走り出してしまいそうなのに、 怖くて。 でも、 まだ早い。 まだ、ジェイ事を考えちゃ、ダメ。 まだ、 アーレフに逢う日が待ってるんだから。 最後の… 逢瀬。 この部屋は居心地がよかった… 暗いと感じたこの部屋は、 明るい色のファブリックで居心地がいい部屋になったし、 オリバーも、ずいぶんと自然と話してくれるようになった。 最初は業務連絡のような会話だったけど。 少しはケイトの代わりが出来たかな… 私のことを、 妹だと感じるなんて言ってくれて、 すごく嬉しかったんだ。 クリスマスなんて、 プレゼントってなんかダメかなって思って、 ケーキを焼いたりしてみたら、 オリバーもお菓子の詰め合わせなんて買ってきてくれて。 子供みたい。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加