第7話 自分と向き合う #2

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「ダメですか…?」 何も言わなくなったから、レイが心配な声を出す。       「イヤ… 美味しい…」 声がひっくり返る。 ヤバい。 涙が出そうだ。 誤魔化すように口を一杯にする。 こんなの恥ずかしくて見られたくない。 こんな情けない顔。 特にレイには。 でも、心配そうな顔が消えない。 だから、 仕方なく話したんだ。 「妹を思いだした。 亡くなった妹を。 時々こうやって、仕事から帰ると食事を用意して待っていてくれたんだ。 作るものは違うけど、 なんか、こんな温かな感じだったなって。 ごめん。 ちょっと思いだしただけだ。」    本当は、 ケイトがうちで食事を用意して待っていてくれたときは、 いつもお金に困ってて… 食事が済むと悪そうに言うんだ。 《お兄ちゃん、お金かして…?》 と。 嬉しいけど、悲しい。 そんな気持ちまで蘇ってくる。 「私にもお兄ちゃんがいます。 この前帰ったとにも、前と変わらずに優しくて… 私もオリバーさんのこと、 お兄ちゃんのような気がしてます。 余計なことは言わないけど、優しさが伝わってきて… ここに居る間。 お兄ちゃんだと思ってもいいですか?」 我慢してた涙がホロリ…と、 こぼれた。
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