第7話 自分と向き合う #2

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慌ててそれを拭う。 見られてしまったけど、 もうどうすることも出来ない。 「出来れば、Mr.を付けないで呼んでくれないかな。 こっちではほとんど付けない。 たとえ上司であってもだ。 妹も、 オリバー…と、 そう呼んでた。」 話を誤魔化した。 日本の習慣は勉強した。 ~さん。と呼ぶのが普通だと。 妹が名前を呼ぶと、お兄ちゃんって意味だし、 友達は普通に呼ぶ。 部下だろうと上司だろうと、 ファーストネームで呼ぶのが普通なんだ。 人に紹介するときには、brotherとか使って紹介するけど。 「オリバー…」 呼んだ声がケイトに聞こえた。 お兄ちゃんって… いつも呼んでた声に聞こえたんだ。 「うん。」 ケイトに返事をするように… 「妹さんの名前、 なんておっしゃるんですか?」 言ってなかったかな… 「ケイトだ。正式名はキャサリン。 でも、ケイトって呼んでた。」 そう。 キャサリン。 懐かしいな… 「ケイト? 少しの間、あなたの代わりにオリバーの妹で居させて下さい。」 と、指を組んで胸の前で合わせる。 お祈りの形。 「許してくれるかしら。 ケイト。」 と、私を見る。
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