第9話 やっと。

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約2時間半のドライブ。 「寒くない? 厚めのブランケット、出そうか?」 季節は冬。 もうすぐクリスマス。 だが、 なぜだか今年はそんなに寒くない。 「ぜんぜん。 ちょうどいい。 こうやってドライブっていうのもたまにはいいわね。 何も考えないで、 ただ、思いついたことを話すって。」 俺もレイもスケジュールが詰まってて、 何も考えない会話って、 ここの所、 あまりなかったな… 反省。 思い描いた未来は、 案外、普通なものだった。 これから産まれてくるベイビーのことを考えると、 すごく幸せに包まれる。 だけど、 毎日は何も変わらない。 レイと離れてた2年半のことを思うと、 天と地との差がある生活だけど、 普通に食事をして、 一生懸命に仕事をして、 レイの顔を早く見たくて、急いで帰る。 ここ最近はベイビーを迎える準備で買い物に行ったりしてる。 見てると店ごと欲しくなってしまって、 選ぶのにも一苦労。 こんな感じなのか。 普通の幸せって。 うん。 いいものだ。 普通ってのも。
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