第9話 やっと。

6/14
前へ
/21ページ
次へ
普通って言葉が嫌いだった。 普通じゃだめだって思ってた。 もっと大きくなって、 もっと金持ちになって。 いつもそう思ってた。 だから、 人の気持ちなんて考えられなかったんだ。 だから… あんな人を売るようなことをしてしまってたんだ。 それがどれだけ大切な人を傷つけたか。 そして、 自分を傷つけたか。 レイがいなかったら気が付かなかった。 レイがそのことに気付かせてくれた。 何度も何度も思ったこと。 もう二度と失敗はしない。 人を傷つけるようなことはしない。 レイに、 ベイビーに。 誓う。 何度か外の空気を吸うために休憩を入れて、 着いた町。 いい町だ。 緑がいっぱいの。 俺たちが住んでる所もオフィス街に比べたらずいぶんと田舎だけど、 全然違う。 車を停めて荷物を降ろす。 何が入ってるんだ? こんなにたくさんの荷物。 「オリバーとキャシーにお祝いのプレゼントなの。 大切に運んでね? あ、それと、この袋はジェイが着るの。 着替えてね? 大事な二人の結婚式なんだから。」 フウン… ずいぶんと張り切って準備したんだな… これは、きっとレイの絵だ。 どんな感じがいいかってずっと悩んでたから。 でだ。 何でこんなにほかの荷物が多いんだ?
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加