第9話 やっと。

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ケイト。 あの時に迎えに来てくれと頼んだことは忘れてくれ。 やっと、 自分の幸せを手にすることが出来たから。 おまえはそっちで寂しくはないか? 寂しかったら、今度、お兄ちゃんとキャシーの子供として産まれてきてほしい。 今度はちゃんと幸せに生きていけるように守ってあげるから。 生まれ変われるらしいぞ? レイが言ってた。 帰らないでほしい。 ずっとここで暮らしてくれないか? なんど、そう言おうとしたことか。 レイに。 だけど、 それを言ってしまったら、 きっと誰も幸せにはなれないと解ってた。 帰っても残っても、 レイは幸せにはなれなかったんだ。 お兄ちゃんは間違ってなかったよ… こんな幸せを、見つけられたんだから。 あの時に傷を負わなかったら出逢えなかったキャシーと… 愛し合うことが出来たんだから。 この生きてきた道を、 ずっと後悔してきた。 レイと出逢う前も。 その後も。 だけど、 ここにたどり着くための険しい道だったんだ。 必要な一本道。 この二人が幸せそうでよかった。 この二人がこんな顔をしていてくれるだけで、 自分もキャシーと笑っていられる。 ありがとうな。 二人とも。
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