第9話 やっと。

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ボロボロに泣いてるジェイをオリバーも泣きながらからかってる。 どっちもどっち。 「あんな二人なの? なんか、 感じも似てるし、兄弟みたい。」 キャシーが言う。 「そうね。 本当は一番の理解者だったのね? なのに、いつも難しい顔ばかりしてた。 やっと素直になれた感じ。」 ふたりを眺めるレイとキャシーは、 なんだか、ずっと前から親友のように、 わかり合えてた。 だって、 キャシーはオリバーそっくりなんだもの。 強くて優しくて。 私なんかぜんぜん思いつきもしない気遣いが出来る人。 だから、 オリバーはキャシーに惹かれたんだわ。 「お兄ちゃんをよろしくお願いします。」 「お兄ちゃん?」 「うん。 今のはケイトの言葉。 オリバーは私のことをケイトに似てるって。 だから私もケイトのつもりで居るのよ?」 「そっか。 お兄ちゃんか。 言い出せないワケだわ。 いいわ。 任せて。 考える暇がないほど、幸せにしてあげるから。」 キャシー。 凄くキレイ。 まるで女神様。 きっと、 絶対、一生幸せね… 自信に満ちあふれてるもの。 私も負けないくらい、ジェイを幸せにしてみせるわ。 そして、 私も幸せに… 女って現実的。 来年にはこうなって、 10年後にはこうなって。 そんなことを考えて居たけど、 結局はジェイが居て、 子供が居たらそれだけでいいと、 感じてた。 この日だけは、決して忘れない。 どんなに歳を取って、 すべてを忘れかけたとしても。
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