第9話 やっと。

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……… どの作品がお好みですか? つい、聞いた質問。   どれも素敵だけど…   そうね…   あのオレンジの、夕日の…      いえ。   どの作品も同じくらい好きですよ。   その返事で解ってしまった。 この方は、 アーレフなのだと。 オレンジ色の夕日を描いたのは、 アーレフにプレゼントした一枚しかない。 それ以降は、 あれと似たものさえ描いてないのだ。 あの色はアーレフの色。 だから、封印してる。 私は… 気が付かないように、 いつもと変わらない返事を返す。 「もっと喜んで貰えるものを創れるように、 頑張ります。 これからも、お付き合いいただけたら嬉しいです。」 と。 アーレフも、 自分だと名乗らずに応援してくれてる。 性別まで違えて名乗って。 それに、 私が凄く幸せだということを、 心から喜んでくれてる。 「子供や、孫のように嬉しい。」 と。 それが解ったとき。 動揺も困惑もしなかった。 それはもう、 きっと今がすべてだから。 私のすべて。 アーレフがお別れの時、 私を突き放してくれたから… だから、 今の幸せがあるの。 幸せになれ。 最後の言葉を思い出して…  最後の約束。  守っていますよ… 私は空にそう呟いた。 ーendー
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