第8話 そして… #3

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あ、そうだ。 一緒に来た人物に目配せをする。 レイを離して、 「デビュー、おめでとう。 部屋に飾ってくれてたあの絵、 大事に飾らせてもらってるよ。」 そう。 あの一緒に暮らした部屋のバルコニーから見えたこの街の絵を、 リビングに飾ってあった。 その人物がレイにかわいらしい花束を渡す。 「おめでとうございます。」 そう言って。 レイがどなた? って顔をするから、 「P、T。 フィジカルセラピスト。 日本で言う理学療法士。 私のリハビリにずっと付き合ってくれた人だ。」 黒いパンツスーツを着たスラッと背が高い女性。 黒髪でショート。 活発な感じなんだ。 どこかレイに似てるのは、 彼女の母親方の祖母が日本人だから。 初めまして。 と、日本的に頭を下げるレイに、 同じように頭を下げる。 「キャサリンと言います。 キャシーと呼ばれてるわ。」 ジェイが、 「オリバー。 あの時は、本当にありがとう。 助けてくれて。 ずっと気になってたんだ。 レイも、俺も。 でも、よく来てくれたね? どうしてここが?」 やっぱり噂は本当だった。 少し大人になったみたいだな。 大きく感じる。 「風の噂だよ。 この辺のことは耳に入ってくる。 おまえ達、 結婚したのか?」
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