第8話 そして… #3

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「いい友達なのね。 あの二人、あんなに泣いて。 きっと心配してたのよずっと。 あなたは孤独だと言った。 まだ動けなかった頃。 誰もお見舞いに来ないし、 本当にそうだと思ってた。 良かった… あなたの違う顔が見られて。 オリバー? あなた、あの子のことが好きだったんでしょ。」 何を言うんだ。 これから俺たちは結婚するっていうのに。 「そんなことはない。 いい友達だ。」 ギャラリーを出て、すぐにタクシーに乗った。 座るとまだ腰がギシギシしてる。 初めてだったからな… あれから支えなしで動いたのは。 少し蘂れてる足を彼女がさすってくれてる。 「いいのよ。 誰かを愛せる人だと知って、嬉しいの。 二人のために自分の気持ちを隠してたのね… 本当に優しい人。 でも、これからは…」 顔を覗き込んで、 「私だけを見てくれるんでしょ?」 全部お見通しなんだな… 最初から隠せてなかった。 寂しい気持ちも、 絶望の心も。 だから、 楽なんだ。 キャシー。 おまえが傍に居ると。 「もちろんだよ。 コレなしで普通に歩けるようになったら、 結婚式を挙げよう。 あの二人を呼んで。」
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