1人が本棚に入れています
本棚に追加
一ヶ月お母さん
「で、蓮君…だっけ?」
「うん!蓮だよ!1年生なの!!」
まぁ随分可愛らしいこと。
「百合香ちゃん、ここでは特別な事情がある子を預かっているの」
「特別な事情…?」
「ええ、蓮君は親がいないの。」
「…はぁ!!??それで蓮君のお母さんになれって!?」
「違う違う!蓮君には親がいないって言うか、親が仕事でいつも家にいないから、ここ2年間ずっとここで過ごし暮らして来たの。」
”つまり家にも帰れないし親にもあってないってことよ”
叔母さんがそういい私に蓮君を渡して来た。
「百合香ちゃんは蓮君の家に行って一緒に暮らしてくれる?しばらくの間でいいの、親御さんには許可を得てるしむしろ大歓迎だと」
「そんな勝手に…」
「…家に…帰れるの…?僕、家に帰れるの?」
どうして子供とは純粋なのか
どうして私とは頼み事を断れないのか…
「分かった。引き受けます」
ホントに、この仕事をやっていけるのだろうか。
____________
_________
____
_
叔母さんの家から車で10分
蓮君の家よと言われて渡された地図を見てここまで来た
「僕の、家だ…」
少し泣きそうなのか声が震えていて
どのくらい帰りたかったのか
帰れなかったのか
寂しかったのかが分かった
「おねーちゃんありがとう。」
おねーたんじゃなくなった
でも蓮君のありがとうの笑顔はとても輝いていた
タッタッタッと走って早速家の中に入ろうとする蓮君。
「こーら、危ないから走らない走らない」
「はーい!おねーちゃんお母さんみたい!」
「今はお母さんですもん!」
今は、お母さんですから。
最初のコメントを投稿しよう!