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ぐぅ~っ
今日も、俺様の腹の虫だけは元気に泣き叫んでいる…
あの日、木桶の中で目を覚ますと
俺様は元の姿に戻っていた。
アレは、夢だったのかな?
そんな事より…
流石に、何か食べないとヤバイんですけどっ💦
仕方ない…
行きたくは無いけど、あの女の所へ行くか…
俺様は、塀伝いに一軒の家を目指した。
女は、丁度 七輪で鮎を焼いている。
塀から降りた俺様は、静かに女の元に近付いた。
「あらっ クロさん、久しぶりじゃないのぉ~っ
最近 ちっとも遊びに来てくれないから 寂しかったのよ?」
女は、そんな事を言いながら俺様を抱き上げると 徐に腹に頬擦りをする。
うわっ
キモイっ…
白粉くさいっ…
でも、我慢だっ
あの鮎を頂くまでの辛抱だっ
頑張れ 俺様っ
女は、一頻り俺様を撫で回すと満足したのか 地面に俺様を下ろした。
[さぁっ、散々俺様の自慢の毛皮を触らせたんだ。
その鮎を寄越せ]
フルッと、身体を震わせて
【にゃあ…】と可愛く小首を傾げれば、女は意図も簡単に鮎を差し出した。
目の前に置かれた鮎をガツガツと頬張る。
「クロさんたら… そんなにがっつかなくても誰も取ったりしないわよ」
女は、クスクスと笑いながら俺様の頭を撫でるが今はソレどころじゃないっ
なんせ、久しぶりの食事なんだから…
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