とんしょ

6/34
前へ
/146ページ
次へ
ずぶ濡れの俺様が、ゆっくりと背後を振り返ると ソコには 手桶を手にしたアイツが立っていた。 [何さらすねんっ ボケがぁぁぁっ 頭カチ割るぞっ] いくら毒づいた所で、人間に俺等の言葉が分かるハズもなく… 歳と呼ばれていた男は、ふんっと鼻を鳴らして去っていった。 全く… 歳の野郎、今度会ったらパンチのひとつも喰らわさないと気がすまねぇ。 いや… 寝床に蛇を突っ込んでヤるのも有りか? ヤツへの報復を口にしながら、日向をトボトボとあるく… ずぶ濡れの俺様は、どぶねずみよりもみすぼらしく見えるだろう… 身体を隠すように近くの茂みに潜り込むと、その先に暖かそうな日だまりが見えた。 あそこで乾かすか… 茂みを抜けると、ソコは小さな庭園の様になっていて、縁側には一人の男が日向ぼっこをしていた。 [‼…近藤さんっ]
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加