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『苺のババロア』
「てめぇっ、長可!! 俺の苺を奪うとはいい度胸だな!」
「突っかかってくんなよ政宗。いつまでも食わねーで残してるからだろ。いらねえなら食っても問題ない。そう俺が決めた」
「最後に取っといたんだよ、残したんじゃねぇ! ああそうか、とうとう決着を着けようって腹か」
武将達による学園生活が始まって幾日。全寮制である学園は朝から夜まで未来人の管理を受けるが、そんな事で悲観するほど彼らは軟弱ではなかった。
思い切り学園内であるにも関わらず、喧嘩を繰り返すこの二人――森長可と伊達政宗が、いい例であった。
「鼻をへし折ってやるぜ、鬼武蔵!」
「食い散らかしてやるぞ、独眼竜!」
長可は物置と化した社会資料室から鉄パイプを持ち出し、政宗は野球のバットを拝借し武器とする。しかし、この喧嘩の原因は学食のデザートに出たケーキの苺なのだ。彼らの堪忍袋は、恐ろしいほど小さかった。
「兄上は、どうしてこうも政宗にちょっかいをかけるのでしょうか」
長可の弟、蘭丸は頭を抱える。
「政宗様、あれだけ御自重なされよと申したのに」
政宗の従者、小十郎もまた、蘭丸と同じく頭を抱えていた。
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