第一章

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「あ、そうなんだ……。分かった、ありがとう。」 「あいつ、また一人で話してるぜ…」 「本当、気味悪いよな…」 遠くでひそひそ話している声は全て聞こえている。耳がいいわけではない。 けれど、聞こえてしまうんだ。 私はいつも一人だ。 みんなには見えないものが見えてしまうから。 でも、これでいいんだ。 私には友達がいる。 此処には存在しない友達が… 私は誰もいない神社に向かって歩き出した。 誰にも何も言われないところ。 『僕たちのせいでごめんね…』 「気にしてないよ。楽しいんだ、君たちと話していると…」 そう、私には幽霊が見えてしまう。 みんなには見えていない。 だから、気持ち悪がられる。 でも、私に見えるのは幽霊だけじゃない。 妖も見えてしまう。 実は勘違いされやすいけれど、妖はいい人……いや、いい妖ばかりなんだ。
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